姨捨の棚田ではほとんどの田んぼに水入れ作業が終わり、5月末からは本格的な田植えシーズンとなります。
「日本の棚田百選」 姨捨の棚田 美しさの理由
姨捨の棚田は国の「重要文化的景観」や「日本の棚田百選」に選定されています。聖山高原を背に、善光寺平を一望でき、標高は460m から560mに至ります。面積は40ha程度。今も小さな棚田が1500余りも連なり郷愁あふれる風景をつくりだしています。
時代を越えて愛される姨捨の棚田の原風景。その美しさの理由は、「田の大きさ」と「畦(あぜ)」といわれています。
一枚一枚の田が小さい
姨捨の棚田は「蓑(みの)・菅笠(すげがさ)の下に隠れる」と例えられる小さな田が、斜面を埋めているのが特徴の一つ。
大きさも形もまちまちな田の集合が立体的な棚田の綺麗な広がりを作り出しています。
△小さな田園ひとつひとつを、多くの人が力を合わせて保全しています。
土坡(どば)の畦
田を区切る畦にも特徴があります。姨捨の棚田の畦は「土坡」という、土をもって作る東日本に多いもの。 石を積んで固める西日本に多い畦と比べ、より優美な印象を与えてくれます。
このように姨捨の棚田は、自然と長年に渡る人間の頑張りが重なり合ってできている土地。
さて、この姨捨の棚田に水入れが終わると、多くの写真愛好家が「田毎の月」を求め棚田を訪れます。
田毎の月とは?
平安時代の頃から姨捨は観月の名所として知られ、万葉集にも詠まれた場所です。江戸時代から明治にかけて開田が大きく進むにつれ、小さな棚田に映りこむ月影が一層注目されるようになりました。
斜面に並ぶ不揃いな形の田んぼそれぞれに月が移りゆくことを「田毎の月」と言い表し、松尾芭蕉や小林一茶など多くの文人墨客が訪れ、歌句の題材にもなりました。
2024年5月の満月は23日(木)。この日、またはこの前後に田毎の月を狙うには絶好のチャンスです!
この時期だけに見られる幻想的な風景です。ぜひ、姨捨の棚田にお越しください。